じん肺とアスベスト(環境社会学Tでの映像使用例)

2008年4月29日 2008年5月7日改訂

●文章作成中●

『まっさらな肺をかえせ 造船じん肺根絶のために』三菱長崎造船じん肺訴訟原告団、じん肺根絶三菱長船の会、2004年、26

キーワード:じん肺、造船じん肺、炭坑じん肺、トンネルじん肺、石綿(アスベスト)、裁判、偽証、勝利和解、三菱重工業、長崎市、労働組合、労働環境、横須賀米軍基地

国が「管理区分4」(最重症)と認めているのに別の病院で診察をやり直せと三菱。三菱長崎造船所じん肺訴訟第1陣は199812月提訴、2002年6月に勝利和解。今後の中皮腫増加予測は、今後40年で10万人、過去10年間の50倍以上。潜伏期が長い(2050年)。横須賀米海軍は1978年にようやくアスベストの危険性を日本人労働者に通知。(米英海軍は戦前からアスベストの危険性を知っていたが)

『長崎ウォッチ2月号』NHK、2008年2月22日、前半は諫早湾干拓であるが、後半のアスベスト問題(10分)を映写した。上戸町病院内科の上尾真一医師。中皮腫・じん肺・アスベストセンターの片岡明彦氏。

「情報公開求め見えてきた全容 労災時効を撤廃し救済すべき 中皮腫・じん肺・アスベストセンター運営委員片岡明彦さん(インタビュー)」『社会新報』2008年3月12日号。

4月29日(月曜クラス)/5月●日(火曜クラス)

このウェブサイトの「最近の原稿」の「図表」のアスベスト年表、世界の石綿生産、世界の石綿消費を参照。カナダの生産量と消費量を見よ。

水俣病は有害物質による自然環境(水俣湾の生態系)の汚染で、メチル水銀中毒。公害問題。

カネミ油症は有害物質による人工環境(加工食品)の汚染で、ダイオキシン中毒。消費者問題・公害問題。

石綿被害は有害物質による人工環境(労働環境、生活環境)の汚染でじん肺・肺ガン・中皮腫。労働問題・公害問題。

●じん肺とは

金属や鉱物の粉塵や繊維を吸入することにより肺組織が繊維化し、呼吸困難になる病気。石炭粉塵による炭坑じん肺、岩石粉塵によるトンネルじん肺、鉄粉塵による造船じん肺などがある。造船職場には石綿もあるので、石綿じん肺(アスベスト肺)も生じる。石炭、岩石、鉄には発ガン性はないが、石綿には発ガン性があるので、造船じん肺では癌(肺ガン、悪性中皮腫)を合併することがある。長崎は炭坑(すべて閉山)、トンネル工事、造船所が多いので、じん肺が多い。2004年4月には筑豊じん肺最高裁判決で国の責任が認められた(同年10月には水俣病関西訴訟最高裁判決で国の責任が認められた)。

●アスベスト(石綿)とは

石綿とは、蛇紋岩あるいは角閃石から得られる繊維状の鉱物で、髪の毛の5000分の1の細さである。断熱性、防音性などにすぐれ、人類は紀元前から利用してきた。日本では江戸時代の科学者、平賀源内が石綿布をつくったことが有名である。有害性の認識は19世紀後半からである。ILOによる発ガン性の認定は1970年代である。じん肺(アスベスト肺asbestosis)、肺ガン、悪性中皮腫(mesothelioma)などの原因となる。高濃度暴露でじん肺、低濃度暴露で中皮腫、肺ガンはその中間。労働者は3つともなりうるが、周辺住民がなるのは中皮腫である。日本の石綿消費量は、中国への侵略戦争を行った時代に小さなピークがあり(軍艦などの石綿需要のため)、戦後の高度経済成長時代とバブル経済時代に大きなピークがある。国民の関心の高まりは次の3回である。

1.1980年代の学校および在日米軍の石綿問題

2.1990年代の阪神大震災と災害廃棄物の石綿問題

3.2005年クボタ・ショック(労災および近隣住民の中皮腫)以降の現在

ILOによる発ガン性認定(これも遅すぎた)以降にも日本の石綿輸入量が増えたのは、日本の石綿業界と行政の意識の低さを示している。ウィキペディア日本語版の「石綿」項目の記述はおおむね妥当である(ウィキペディアの各項目の記述は出来不出来が激しいので、注意が必要。慰安婦問題など政治的にセンシティブな項目では、ネット右翼による不公正な記述も少なくない。)。ただしウィキペディアの「石綿」は「参考文献」があまりに少ない(古いものが2点)なので、「編集途上」のようだ。ウィキペディアの「石綿」から、まえがき、「概要」「歴史」「石綿の種類」「使用例」「ポジティブリスト」「アスベスト健康被害」を以下に引用する。なお、ウィキペディア日本語版「石綿」にクリソタイル、クロシドライト、アモサイト(石綿の主要3種)の英語綴り(chrysotilecrocidoliteamosite)が示されていないのは不親切であろう。

石綿(いしわた、せきめん)は、蛇紋石や角閃石が繊維状に変形した天然の鉱石のこと。蛇紋石系(クリソタイル)と角閃石系(クロシドライト、アモサイトなど)に大別される。

 

概要

石綿の繊維1本の細さは大体髪の毛の5,000分の1程度の細さである。別名をアスベスト (asbest) と言うが、元はオランダ語で、英語ではアスベストス (asbestos) と呼ばれる。[中略]

耐久性、耐熱性、耐薬品性、電気絶縁性などの特性に非常に優れ安価であるため、日本では「奇跡の鉱物」などと珍重され、建設資材、電気製品、自動車、家庭用品等、様々な用途に広く使用されてきた。しかし、空中に飛散した石綿繊維を肺に吸入すると約20年から40年の潜伏期間を経た後に肺がんや中皮腫の病気を引き起こす確率が高いため、2006年現在では「静かな時限爆弾」などと世間からおそれられている。

日本では1970年代以降の高度成長期にビルの断熱保熱を目的などにアスベストが大量に消費されていたため、その潜伏期間が丁度終わり始める21世紀に入ってからアスベストが原因で発生したと思われる肺がんや中皮腫による死亡者が増加している。2040年までにそれらによる死亡者は10万人に上ると予測されている。また、アスベストが使用されたビルの寿命による建て替え時期が本格的に始まり、新たなアスベストによる被害が生まれてしまうのではないかと懸念されている。(アスベスト問題を参照)

また、ヨーロッパでも同様のアスベストによる被害が多く見られ、2020年までに肺がんや中皮腫による死亡者は50万に上ると推計されている。

歴史

古代エジプトではミイラを包む布として、古代ローマではランプの芯として使われていた。マルコポーロの口述によるとされる『東方見聞録』にヨーロッパでは火に焼けないサラマンダーの皮と知られているものが鉱物である旨の記述があり、これが石綿ではないかといわれている。

中国では、周の時代に征服した西戎からの貢ぎ物として石綿の布が入ってきて、火に投じると汚れだけが燃えてきれいになることから火浣布(火で洗える布)と呼ばれ珍重されていた。

日本では『竹取物語』に登場する、火にくべても燃えない「火鼠の皮衣」も、当時そういうものが実在したとすれば、正体はこの石綿であったろうと言われている。平賀源内が秩父山中で石綿を発見し、明和元年(1764年)にこれを布にしたものを中国にならい火浣布と名付けて幕府に献上している。この源内の火浣布は京都大学の図書館に保存されている。

20世紀に入ると、建物などの断熱材や防火材、機械などの摩擦防止用などに大量に使用されるが、1970年代に入ると人体や環境への有害性が問題になった。

日本国外の産地としてはカナダ(クリソタイル)、南アフリカ(クロシドライト)が有名。後者は使用が完全禁止となっているため、既に生産されていない。日本においては第二次世界大戦直前から各地で石綿資源の開発が始まり、北海道富良野市山部地区は数少ない国産石綿産地として野沢鉱山など大規模なクリソタイル鉱山が操業していた。このほか、熊本県や長崎県でも小規模で低品質のクロシドライト等が採掘されていた。これらは戦後も操業が続き、最終的に1969年に富良野市山部での採掘が中止されるまで小規模ながら生産が続けられた。なお、山部においては採掘中止後もズリ(廃石)から低品質の石綿が2000年代初頭まで回収されていた。

 

石綿の種類[主要なものは青石綿、茶石綿、白石綿の3種類である]

A.蛇紋石系

クリソタイル(温石綿、白石綿)  組成式は Mg6Si4O10(OH)8。クリソタイルから作られる石綿を温石綿と呼ぶ。文字通り、綿のように柔らかい。日本では200410月に使用が禁止。しかし、一部の用途に限っては2006年まで使用が認められている。2008年までには全面禁止される予定。

B.角閃石系

クロシドライト(青石綿)   石綿状のリーベック閃石(Na2(Fe2+3Fe3+2)Si8O22(OH)2)のこと。針状に尖った繊維で、クリソタイルのような柔らかさは無い。最も毒性が強いとされ、1995年から使用も製造も禁止。

アモサイト(茶石綿)   カミントン閃石(Mg7Si8O22(OH)2)‐グニュネル閃石(Fe2+7Si8O22(OH)2)系列。1995年から使用も製造も禁止された。

アンソフィライト(直閃石綿)   直閃石(Mg7Si8O22(OH)2)。

トレモライト(透角閃石綿)   透閃石(Ca2(Mg,Fe)5Si8O22(OH)2 (Mg/(Mg+Fe)=1.0-0.9))。

アクチノライト(陽起石綿)  緑閃石(Ca2(Mg,Fe)5Si8O22(OH)2 (Mg/(Mg+Fe)=0.5-0.9))。

 

使用例

石綿は繊維の長さから「グレート」と呼ばれる分類がなされており、このグレートの数が小さいほど、質の高い石綿ということになる。繊維として用いられる物は主としてこのグレートの小さい14、建材の原料として用いられるものは比較的グレートの大きい石綿であった。

防音・断熱用として学校や各建築物、船舶、鉄道車両などに広範囲で使用された。

理科の実験で、ビーカーなどを火に掛ける際に使う石綿付き金網(石綿金網とも。金網の中央にある円形の白っぽい部分が温石綿)という利用例もある。上記の問題から、現在販売されているものはセラミックに切り替わっている。

絶縁材料としても使われた。

自動車や鉄道車両のブレーキパッド、クラッチ板

屋根瓦、屋根用波板、石膏板、天井用化粧板

ガスケット、シーリング材、パッキングなど

グレート7前後の石綿は「テーリング」と呼ばれ、モルタルやアスファルト混和材として道路の凍結防止等を目的として使用。

 

ポジティブリスト

日本において石綿は20069月の労働安全衛生法の改正により全面製造禁止となったが、代替品が確立していない特定分野の部材については政令により代替技術が確立されるまで製造の禁止が猶予されている。

猶予されている製品はポジティブリストとして厚生労働省の政令で一覧表となっている。当初リストには、612項目が挙げられていた。410項目のシール材が<温度や圧力や化学条件を指定した条件下での使用を認められていた。即ち化学工業、鉄鋼業、非鉄金属製造業の既存の施設の設備の特定条件下での使用で8項目、潜水艦の特定部品への使用で2項目である。断熱材としては国産ミサイルの部材、およびそれらシールと断熱材の原材料としての使用が挙げられていた。 ポジティブリストは代替品の技術が確立された時点で見直しがなされており、20072月にて鉄鋼業に関する2項目が削除され、610項目に減った[1]

ポジティブリストにある6種類の製品

1.ジョイントシートガスケット

2.うず巻き形ガスケット

3.メタルジャケット形ガスケット

4.グランドパッキン

5.断熱材(ただし国産ミサイルに使用されるもののみ)

6.1から5の原材料

これらの用途と条件を限定して製造などの禁止が猶予されている。

 

アスベスト健康被害

詳しくは「アスベスト問題」[ウィキペディア項目]を参照

近年になって、石綿繊維を大量に吸った場合に人体に悪影響を与えることが判明した。アスベストはWHOの付属機関IARCにより発癌性がある(Group1)と勧告されている。アスベストは肺線維症、肺がんの他、稀な腫瘍である悪性中皮腫の原因になるとされている。したがって、世界的にアスベストの使用が削減・禁止される方向にある。

日本では1975年(昭和50年)9月に吹き付けアスベストの使用が禁止された。2004年までに石綿を1%以上含む製品の出荷が原則禁止される。大気汚染防止法で特定粉じんとして工場・事業場からの排出発生規制。廃棄物処理法で飛散性の石綿の廃棄物は一般の産業廃棄物よりも厳重な管理が必要となる特別管理産業廃棄物に指定されている。個人でも1960年代まで製造されていた電気火鉢の石綿灰を廃棄する際には注意が必要である。なお、2005年には、関係労働者の健康障害防止対策の充実を図るため、石綿障害予防規則が施行された。

2005年にはアスベスト原料やアスベストを使用した資材を製造していたニチアス、クボタで製造に携わっていた従業員やその家族など多くの人間が死亡していたことが報道された。クボタについては工場周辺の住民も被害を受けている。その後も、造船や建設、運輸業(船会社、鉄道会社)などにおける被害が報じられ、2005729日付けで厚生労働省から1999年度から2004年度までの間に、日本全国の労働基準監督署において石綿による肺がん又は中皮腫の労災認定を受けた労働者が所属していた事業場に関する一覧表が公表された(後述外部リンク参照)。

なお、環境省では建築物の解体によるアスベストの排出量が2020年から2040年頃にピークを迎えると予測している。年間10万トン前後のアスベストが排出されると見込まれ、今後の解体にあたって建築物周辺の住民の健康への影響が懸念されている。

以上引用。

 

●じん肺についての文献

石の肺 : ある鉱山労働者たちの叫び沢田猛(技術と人間1985年)

『涙がこぼれそうで じん肺患者の妻と子供達の手記』武藤ヒサ子・全国じん肺裁判原告団・弁護団編(東研出版1988年)

『わが肺はボロのふいご 三菱長崎造船じん肺ルポ』長船繁(かもがわ出版1998年)著者の詩「じん肺がしんぱい」(1969年)は『まっさらな肺をかえせ 造船じん肺根絶のために』でも紹介されている。

『四国トンネルじん肺訴訟 不治の病、黒い肺の告発』四国トンネルじん肺訴訟徳島弁護団編(亜紀書房2003年)

『男はたのしく たんこたろ弁護士』角銅立身(自費出版、松枝総合印刷、2003年)著者は秋田鉱山専門学校(秋田大学鉱山学部の前身)を卒業、鉱山技師として働いた後、独学で司法試験、弁護士に。鉱山学の知識を生かし、じん肺裁判などで活躍。カネミ油症裁判にもかかわる。「理系弁護士」では他に梶山正三(東京工業大学化学科卒、博士課程修了、理学博士、東京都公害研究所を経て、独学で司法試験、弁護士に。廃棄物裁判などで活躍)や福武公子(東京大学地球物理学科卒、博士課程中退、独学で司法試験、弁護士に。原発裁判などで活躍)などがいる。「理系弁護士」は「文理融合」のひとつのモデル。

 

●石綿についての文献

『静かな時限爆弾 : アスベスト災害』広瀬弘忠(新曜社1985年)著者は災害心理学専攻。先駆的な本。

『ここが危ない!アスベスト 新装版』アスベスト根絶ネットワーク(緑風出版2005年)初版は1996

『ノンアスベスト社会の到来へ 暮らしの中のキラーダストをなくすために』石綿対策全国連絡会議、中皮腫・じん肺・アスベストセンター編(かもがわ出版2004年)

「第5章 アスベスト:魔法の鉱物から悪魔の鉱物へ」デヴィッド・ギー&モーリス・グリーンバーグ、欧州環境庁編『レイト・レッスンズ 14の事例から学ぶ予防原則』松崎早苗監訳(七つ森書館2005年)

『アスベスト汚染と健康被害』森永謙二編(日本評論社2005年)

アスベスト禍 : 国家的不作為のツケ粟野仁雄(集英社新書2006年)わかりやすい入門書。

『アスベスト公害と癌発生』姜健栄(朱鳥社2006年)

『アスベスト ミクロンサイズの静かな時限爆弾』岩石鉱物科学編集委員会編(東北大学出版会2006年)

『石の肺 アスベスト禍を追う』佐伯一麦(新潮社2007年)

『アスベストショック』アスベスト被害尼崎集会実行委員会編(アットワークス2007年)

「デパートに潜むアスベスト 横浜・高島屋に放置疑惑」週刊金曜日取材班『週刊金曜日』2008年4月25日号1012

 

●ウェブサイト

  九州社会医学研究所 http://www.k-shaiken.jp/

じん肺・アスベスト根絶三菱長船の会    http://www1.cncm.ne.jp/~momochan5543/index.html

じん肺・アスベスト被災者救済基金(横須賀じん肺被災者の会) http://www.jca.apc.org/~jinpai/index.html

全国労働安全衛生センター連絡会議 http://www.jca.apc.org/joshrc/

中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会  http://www.chuuhishu-family.net/blog/index.shtml

  中皮腫・じん肺・アスベストセンター http://www.asbestos-center.jp/

厚生労働省 http://www.mhlw.go.jp/

長崎県 http://www.pref.nagasaki.jp/

International Ban Asbestos Secretariat;IBAS(アスベスト(石綿)禁止国際事務局)英語

http://www.btinternet.com/~ibas/

 

●九州のアスベスト労災

2008年2月段階で厚生労働省は石綿労災認定が出た事業所名を隠していた(事業所名を墨塗りにして労災一覧を公表)。九州では長崎、福岡に石綿労災が多いことがわかった。国民(特に石綿被害者)からの批判が高まったので、同省は2008年3月に事業所名を公表した。佐世保重工などに多いことがわかった。『朝日新聞』2008年3月29日記事(別刷りで8頁にわたり「アスベスト労災事業場一覧」)から、九州・沖縄各県別の20052006年石綿労災認定件数を次に示す。人口の多い福岡県よりも長崎県で件数が多いことが注目される。今回は三菱重工がなくて、佐世保重工が目立つのは、前者は「これまでに何件か認定された」、後者は「隠してきたのが今回浮上した」のではないだろうか。横須賀の造船じん肺裁判で住友が米軍の下請けだったので、佐世保も米海軍と海上自衛隊の町であるから、佐世保重工のアスベストは米軍絡みの可能性は十分にある。なお、このデータで「九州でアスベスト被害が多いのは長崎と福岡である」ことがわかるが(カネミ油症を想起せよ)、直ちに「長崎は福岡より多い」とは断定できない。福岡で労災認定を阻害する要因がもしかするとあるかもしれないからである。

長崎県 52件(うち佐世保重工12件、九州日アス工事3件、林兼船渠3件)

福岡県 33件(うち旭硝子北九州工場3件)

沖縄県 11件(うち沖縄県コザ渉外労務管理事務所5件、沖縄県那覇渉外労務管理事務所4件)

宮崎県 5件

大分県・佐賀県 各4件

鹿児島県 3件

熊本県 2件

また、長崎では次の報道があった。「西海市の男性が肺がんで死亡したのは、同市大瀬戸町の滑石(かっせき)鉱山での掘削工事でアスベスト(石綿)を吸引したことが原因として昨年12月、長崎労働基準監督署が労災認定していたことが16日、わかった。男性は今年1月、肺がんのため75歳で死亡した。滑石鉱山で石綿被害による労災が認定されたのは県内で初めて」『長崎新聞』2008年3月17日社会面(23頁)。

●格差社会とアスベスト問題

2006年に「格差社会」が流行語となり、非正規雇用の増加、所得格差の増大、偽装請負、名ばかり管理職、正社員の長時間労働・過労死・過労自殺、などが問題になっている。そのなかに、非正規雇用では、正規雇用(正社員)に比べて労働環境が悪い(労災隠し、労災飛ばし=労災が別の場所で起こったことにする、有害物質対策の手抜きなど)という問題がある。経済格差(低賃金、不安定雇用、社会保障不備など)に加えて物質的格差(労災や有害物質からの保護が薄い)があるのである。これは原発職場については、1980年代から指摘されてきた。電力会社社員に比べて下請け、孫請けなどの労働者は放射線被曝が圧倒的に多いという問題である。日雇い派遣会社エム・クルーでは「解体作業は、すごい音と粉塵の中、薄暗く足場の悪い中で行われますが、エム・クルーで紹介されるときは、単に「軽作業」「ごみ出し」などと伝えられます。電気の配線作業の手元をしたときなど、天井にアスベスト(石綿)が付いていても、防塵マスクなしで作業していました。よくて風邪用のガーゼのマスクやタオルを口に当てるくらい。目を保護するゴーグルは、使ったことがありません。」「石綿の下、マスクなしで作業、低賃金・違法状態是正したい 貧困ビジネスの日雇い派遣をただすエム・クルーユニオン委員長千々岩弦さん(インタビュー)」『社会新報』2008年2月6日号。

●カナダのアスベスト公害輸出

このウェブサイトの「最近の原稿」の「図表」の世界の石綿生産、世界の石綿消費の表に見られるように、カナダは生産量が多く、消費量が少ない。つまり大量に輸出している。これは「公害輸出」として批判されている。

●中国のアスベスト問題

私は2004年に東京で開かれたアスベスト国際会議に参加した。イタリアの学者は造船の町の石綿災害が労災から公害へも展開していることを報告した。長崎でも、造船所で造船職場(一般環境の数百倍以上など)のみならず事務職場でさえ一般環境の30倍の石綿が観測されたことから、近隣住民に中皮腫が出る可能性を否定できない。パキスタンの学者は廃船の解体に伴う石綿問題を報告した。カナダの石綿公害輸出への批判が相次いだ。中国政府代表は、青石綿などは危険であるが、白石綿は適切に管理しながら使えば大丈夫だと述べた。カナダの石綿業界の主張(ごく最近までの日本の石綿業界の主張)と同じである。本当に社会主義国なのだろうか。中国はその後(2007年または2008年)白石綿も禁止したそうだが、詳細については情報収集中である。

「中国情報局NEWS」というサイトによると、中国の業界団体が2006年9月にアスベストの安全宣言をした。下記に引用する。

http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2006&d=0905&f=national_0905_001.shtml

 

アスベストは危険か? 中国業界団体が安全宣言  2006年9月5日

  「アスベストの一種である白石綿(クリソタイル)は安全な物質であり、西側諸国が『発がん性がある』と悪意ある情報を広めている」と批判する記事を中国新聞社が5日付で掲載した。

  アスベストは白石綿と青石綿(クロシドライト)に大別される。日本では1995年から青石綿の使用及び製造が禁止されている。白石綿は04年10月に使用及び製造が原則禁止となった。ただし一部用途に限り06年までの使用が認められており、08年に全面禁止される。

  中国は白石綿の産出量がロシア、カナダに次いで世界3位。8月29日付の中国新聞社は中国で白石綿が自転車のブレーキシューの材料に広く使われていることを報じた。

  9月2日には北京市で白石綿に関する研究発表会が開かれた。この中で非金属鉱工業協会の張湛・董事長が、西側諸国で白石綿が人体に危害を及ぼす可能性があると伝えられていることに怒りを爆発させた。

  張董事長は「白石綿は有毒で発がん性がある危険物質だと言われているが濡れ衣だ。危険なのは青石綿であり、白石綿は安心して使ってよい」「西側諸国はアスベストの代用品を売りさばくために騒ぎ立てている」と主張。更に「アスベスト資源が乏しい国のでっち上げで科学的根拠はない」と付け加えた。

  一方、中国新聞社は「西側諸国におけるアスベスト規制強化の影響が中国にも及んできた」「中国でも『アスベスト恐怖症』があちこちで見られるようになった」と指摘。また同紙は、吉林省・長春市で白石綿製品を製造している業者が「中国は白石綿の代用品を作る技術が遅れており、もし製造が禁止されたら全面的に輸入に頼らざるを得なくなる」との懸念を示していることを報道した。

 このほか石油関連の専門サイトである中油網も4日付で「白石綿は経済的で安全」と題する記事を掲載している。(編集担当:菅原大輔)

以上引用。

また、同サイトには、日本のアスベスト規制に対する中国の反応についての記事(2006年8月)もある。以下に引用する。

http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2006&d=0830&f=national_0830_003.shtml

アスベスト:日本の輸入規制に中国が反発  2006年8月30

  日本ではアスベスト含有製品の輸入に対する規制が9月1日から強化される。中国の国家品質監督検験検疫総局(AQSIQ、質検総局)は自転車メーカーに対して、アスベストを含む部品を日本へ輸出しないよう呼びかけている。29日付で中国新聞社が伝えた。

  同紙によると、中国ではアスベストが自転車のブレーキシューの材料に広く使われている。2005年9月には日本でも中国から輸入した幼児用自転車にアスベストが含まれていたことが発覚している。

  経済産業省は05月9月、「外国為替及び外国貿易法に基づく告示」を改正し、自転車のブレーキパッドやブレーキライニングなど10品目について、アスベスト含有量が全重量の1%を超えるものを輸入する場合は経済産業大臣の承認が必要になるとした。

 更に厚生労働省は労働安全衛生法施行令を改正し、アスベストへの規制を強化する。施行は06年9月1日で、全重量の0.1%を超えるアスベスト含有製品の製造、譲渡、輸入などが禁止される。

  質検総局は29日、自転車メーカーに対して、日本へ輸出する部品にアスベストが含まれていないことを示す証明書を提出するよう求めた。また上海市や浙江省の検査機関がアスベスト含有量を測定する作業を引き受けることを提案した。

  質検総局の関係者は「(日本がアスベスト含有量の上限を0.1%にすることについて)科学的な根拠が示されていないし、WTO(世界貿易機関)の規定にも違反している。WTOを通じて交渉を継続していく」と反発している。(編集担当:菅原大輔)

以上引用。

また同じサイトで、日本のアスベスト問題(クボタ・ショック)についての中国メディアの報道についての記事(2005年8月)もあるので、以下に引用する。

http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2005&d=0824&f=national_0824_001.shtml

人民日報が日本のアスベスト騒動を詳細報道  2005年8月24

  日本のアスベスト騒動を横目に、これまで中国メディアではあまり活発な議論が行われてこなかったが、23日付の人民日報が騒動を詳細に報道。アスベスト対策が後手に回っている中国の実情について今後議論が深まっていくか注目される。

  中国メディアは一部の専門紙を除いて、アスベストの安全性について大きな関心を示してこなかった。しかし、23日付の人民日報は、2005年6月から日本でアスベスト騒動が拡大していく様子を、時間を追って報道。

  アスベストが絶縁性の断熱材として建築用に広く使用されてきたことや公共施設や学校などのアスベストの使用状況に対する検査が実施され、人々が不安に感じていること、さらに駅などでも使用されてきたことなど、アスベストが広範囲に用いられてきたことを解説。

 また、日本政府の対応については、「他の先進国と比べて非常に遅れており、反応が遅い」という日本の専門家のコメントを紹介している。

  インターネットのウェブサイトには、さまざまな中国企業によるアスベスト製品の紹介が今でも掲載されている。また、中国ではアスベスト製品生産工場に対する生産許可証の発行基準にあいまいさが残るなどの課題もある。

  今後、人民日報の報道をきっかけに、中国内部でもアスベスト問題へ関心が高まることも予想される。(編集担当:菅原大輔)

以上引用

●受講生の感想抜粋

「前回[カネミ油症]、前々回[水俣病]もそうだが、大きな組織のワガママで民が苦しめられている。このような事件の原因[背景]に「国民の無知・無関心」があると思う。皆が「関係ない」と知らんぷりを決め込んだり、ものを深く考えないから、大組織のワガママがまかり通り、また簡単なマスコミ操作で「国民洗脳」ができてしまい、真実が埋もれやすくなっているのではないかと思う」(男子)

「このようなじん肺という病気があるのを知って、とても衝撃的だった。前回、前々回と思うのですが、なぜ裁判までしなければ補償されないのか。こういうことで会社の本質が見えてくるのだと思う」(男子)

「労働者の危険に気がついていながら企業の利益を優先して、まったく対処せずに働かせ続けるなんて、本当にひどいと思いました。その人たちが懸命に働いてきたからこそ成り立っている会社なのに、明らかにその職場での健康被害については補償するのをしぶるなんて、信頼関係も何もないと思いました。補償の対象として認定するための検査だって、国が[管理区分4と]診断したにもかかわらず、他の病院を指定して再診させようなんて、欲しかみていないと思いました。しかもいまだに使用されているところもあるうえに、それで被害にあった人々のデータを隠し、伏せようとするなんて[2008年2月当時の厚生労働省]解決の意志がないとしかとれません。労働環境もまだ見直すことも多いのかなと思いました」(女子)

「じん肺という恐ろしい病気が地元長崎で問題になっていたことを初めて知った。私のおじいちゃんも三菱重工で働いていたので、とても心配になった。私の中でとても身近に感じていた三菱の社員に対する無責任な対応にとても悲しくなった」(女子)

「長崎でもこのような深刻な労働災害が起こっていたと知って驚いた。特に、数ヶ月ごとに衰弱していくじん肺患者の様子を見るのはとてもつらかった。誠実に頑張った人が損害を被るようなことはもうあってはならないと思った。」(女子)

「今日の講義はじん肺についてであったが、風呂に入る時には肺の高さまで湯船につけてはいけない、眠る時には呼吸困難になることを防ぐために酸素吸入が欠かせないなど、こんなに苦しいものなのだと知った。このような病気にさせてしまった企業の責任は非常に大きいと思った。労働者の健康よりも企業の利益を優先した結果がこれである。にもかかわらず、国から管理区分4の認定を受けた人に再び検診を迫るなど、驚くことが多かった。政府の規制の遅れが問題になったが、会社も国ももっと問題に対して積極的にかかわり、正確な情報公開が必要ではないかと思った」(男子)

「今回は地元長崎で起こったじん肺訴訟≠ノついてでしたが、私はずっと長崎に住んでいたにもかかわらず、このことを知りませんでした。またアスベストの問題も扱われていましたが、私の中学校の体育館にアスベストが使われていたそうなので、今回の講義を聞き、週に2、3回使っていただけですが少し不安になりました」(女子)

「アスベストなどによるじん肺患者が増加しているのは昨年メディアで頻繁に扱われていたのを知っていたが、現代医学をもってしても治療できないということは初めて知った。発症してからただ死を待つだけの暗い日々、酸素吸入のチューブをつけたまま生活する患者さんの映像を見たときは本当に心が痛かった。このようなことがないよう、企業には労働環境をきちんと見直してほしいし、プライドを守るためにこういった事件を隠すのはやめてほしいと思った」(女子)

「アスベストのことは話題になっていたにもかかわらず、それが原因で起こる病気や被害状況についてほとんど知らなかったことに気づいた。じん肺で苦しむ人々の映像を見てとても悲しかった。行政はアスベストに関する情報を積極的に提供しないし、佐世保重工は隠していたし、本当にひどいと思った。被害が多いのが長崎だということに驚いた」(女子)

「アスベスト被害が取り上げられだしたのが最近のことだったので、アスベストの危険性はつい最近になってやっと分かったのかと思っていたけど、そうでないと知って驚きました。会社側はアスベストが有害であると知っていたのでしょうか。労働者は知らなかったと思われますが、会社のために一所懸命働いてきたのに、あんまりだと思いました。自殺したくなるほどの苦しみを抱えながら、じん肺被害をなくすために訴え続けている人たちのためにも、一刻も早く、今後じん肺で苦しむ人々をなくし、きっちりとした対処をしてほしいと思いました。そして今後このようなことが二度と起こらないようにしなくてはいけないと思いました」(女子)

「じん肺訴訟についてもカネミ油症同様、かつて新聞で見たことがあるのに中身については全く知らなかったので、自分の無知さに驚いた。アメリカなどの国が早くに石綿などの被害に気づいていたのに、どうして日本はこんなに遅れてしまったのかわからない。国の対応もあまり積極的でないように見えるのは労働問題だからなのだろうか。しかし周辺住民にも害があれば立派な公害だと思う」(女子)

「本当に悲惨な事件だと感じた。被害者の病状を見ているのが辛かった。数十年も鉄の粉塵を吸ってきて、あとは普通の生活ができなくなり、死を待つだけの人生はかわいそ過ぎる。会社は現場の実態を無視して、じん肺ではなく、たばこの吸い過ぎだとウソ、屁理屈を言って本当のことから逃げていたことにかなりの怒りを感じた。自分の会社の人が苦しんでいるのによく平気な顔をしていられるなと思った」(男子)

「長船のじん肺については、父も長船で働いていたので、身近なものとして感じた。ちなみに父は今のところじん肺の心配はないらしい」(男子)

「今日の授業はじん肺についてだった。仕事を何十年と一所懸命やったためにこのような病気になるとか残酷だと思った。アスベスト[など]を吸ってから何十年後に症状が出始めるこの病気は本当に怖い。患者の症状は段階をふんで変化していき、長い年月をかけて肺が死んでいく。この段階を見ている家族も患者本人も本当に苦しくつらいことだろうと思った。それにもかかわらず、なかなか三菱重工は誠意ある回答をしなかったのは許せない!! そしてじん肺根絶まで約束するべきだと思う。これから、アスベスト死亡者は10万人にのぼるだろうと言われている今、これ以上患者を増やさないためにも、国民がこの事実について知るべきだと思う」(女子)

「どうしてこんな悲しいことがおこるんでしょう。今まで一所懸命会社につとめてきて、それからも発症してからも、会社に食わせてもらった恩を忘れるな≠ニがんばってきた人に、どうして会社は応えてあげられないんでしょう。もう血も涙もないというか、見てたら涙が出てきて止まりませんでした。長い時間がたってしまってから真綿で首を締められるように死んでいった人たちの思いとか考えると、黙っていられないと思いました」(女子)

「長崎のこんな近くでじん肺の事件が起こっているのは知りませんでした。労働者の健康よりも企業の利益が選ばれている事実を知り残念に思います」(女子)

「労働者の健康よりも企業の利益を優先するという三菱重工の考え方に怒りを感じた。そもそも労働者あって会社が成り立つのだから労働者を大切にしない会社は伸びるはずがないと思った。じん肺やアスベストで苦しむ人々の姿を見たが、苦しいときに自分で死ぬから包丁を準備しておけという言葉が特に印象的でどれほど苦しいものなのかというのを思い知った。企業の責任の取り方や安全対策について考えさせられた」(女子)

「じん肺の根絶を切に願っている方たちの熱意が伝わってくる映像でした。今後、アスベストによる被害者が10万人に達すると言っていましたが、根絶のための対策を早くすすめてほしいなと思いました。もうひとつの[NHKの]映像では、黒く塗りつぶされたデータ[2008年2月]を見たとき、少し怒りを感じました。じん肺は長い年月をかけて発症する病気なので、情報が公開された[2008年3月]と聞いて少し安心しました。2015年までの根絶が実現してほしいです」(女子)

「アスベストは何十年もたった後にじん肺などのひどい症状が出て気づいたときにはもう遅いという感じでもっと早くに分かる方法はないのだろうかと思った。世の中にはそうやって苦しんでいる人がたくさんいるのに三菱や[横須賀の]アメリカ側などの対応が悪いことに情けなさをおぼえた」(女子)コメント アスベストでは胸膜肥厚などの前駆症状などがあるので、丁寧な検診が必要。

「複合的な粉じん[鉄、アスベストなど]によりじん肺が起こっている。じん肺になると徐々に肺を壊されていく。酸素吸入器なしでは生活できず、免疫力も低下するので風邪などを併発すると死の危険になりかねない。さらにじん肺を治す手段はない。粉じんを吸い始めてから2050年後に発症する。199812月に提訴した原告団のうち16人が現役の労働者であり、それは異例のことであった。三菱重工は知りながらも環境整備をせず会社の利益をとったと聞いて大変驚いた。さらにアスベストにより死亡するのが今後40年で10万人、過去10年間の50倍と知り、大変大きな爪痕を社会に残していると思う」(男子)

「社説」でも正反対の意見が書かれている[原発や水俣病認定基準についての朝日新聞と読売新聞]というのは驚きました。三菱じん肺訴訟のビデオを見て被害にあった方々の様子がとても痛々しくて見ていられませんでした。呼吸の度に咳や息苦しさを味わせられ、回復の見込みもなく、苦しみながら命を削られていく恐怖には、誰も耐えられないと思います。忘れてはならない訴訟です。」(女子)

「今回じん肺という病気があることを初めて知りました。しかし、このように世間にあまり知られていない問題というのは他にもある反面、いろいろな認知度の高い問題もあり、どのようにして関心を持つ、持たせるのかということを考えなければならないと思いました。」(男子)

「以前アスベストが問題になって危険なものだという認識はあったけれど、肺の組織がじわじわと壊されていって、呼吸困難や肺がんを引き起こしてしまうものだとは知りませんでした。潜伏期間が長くて段階ごとに症状が悪化することを考えただけで苦しくなりました。問題が発覚したら、早めに正確に情報公開される必要を強く感じました」(女子)

「私自身、じん肺は過去の出来事だとばかり思っていました。今も依然としてアスベストを使用し、患者がいるということに驚きました。しかも長崎で一番被害が出ているということがとてもショックです。[横須賀で]1978年以前はアスベストが危険だということすら知らず、それ以前からアスベストなどを吸っている人々は、なにもわからないまま苦しみ、死にさえ至っていることを知りました。アスベストは吸ってから50年後に症状が現れるそうなので、きっと今からも被害は出るだろうと思います。三菱や国がもっと早くに対応してくれれば被害は少なくてすんだかもしれないのに、三菱重工は労働者の健康より企業の利益を優先させたということはとても腹立たしいことです」(女子)

「長崎に住んでいながらじん肺訴訟の話を知らなかったのでなさけなかった。じん肺は2050年後に症状が出るというとても恐ろしいものだとわかった。働いている人は何も知らされずに作業環境が悪いまま働かされてとても気の毒だった。三菱は従業員をいったいなんだと思っているのか知りたい。アスベストはニュースで有名になってとても恐ろしいものだと知っていたが、今もなお使用されていると知って驚いた。人の命にかかわることなので使えないような制度をもうけるべきだと思った」(男子)コメント アスベストは2004年に原則禁止されたが、今年から新規使用は完全禁止になる。しかしアスベストが使われている古い建物は膨大にあり、その解体時期がきたときに適切な作業が必要である。

「軽度の喘息もちの私ですらひどく憂鬱になることがあるのだから、じん肺患者の苦痛は想像を絶するものだろう。環境アセスメントの理念を労働環境においても大事にすることができたら、長年築かれてきた信頼関係が利害関係で終わるような悲しい事態も防げるはずだ」(女子)

 

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