映像資料の感想(環境社会学Ⅱ)maruma

20071226日 2008年1月9日改訂 戸田

●中国遺棄兵器(20071221日)

『ハルピンからの声』海南友子監督、2004年、VHSビデオ21

キーワード:日本軍遺棄毒ガス(化学兵器)、日本軍遺棄砲弾、民事裁判、戦後補償

被害者・遺族の中国での苦悩と、東京地裁での一審勝訴を描いている。

李臣(リ・チェン、男性・被害者59歳、原告) 本人が遺棄化学兵器で重傷

劉敏(リュウ・ミン、女性・被害者の遺族27歳、原告) 本人の父が通常兵器の不発弾で重傷のち死亡

備考:『にがい涙の大地から』(2時間)のダイジェスト版。海南は元NHKディレクターで現在はフリーランスの映像作家

海南友子ウェブサイト

http://kanatomoko.jp.todoke.net/

 

配布プリント

朝日新聞2007年7月19日「毒ガス遺棄 中国人遺族ら逆転敗訴 東京高裁、政府に救済促す」

Federation of American ScientistsFAS)軍縮に力を入れている米国の科学者団体

Chemical Weapons Information

http://www.fas.org/cw/index.htm

 

参考文献

『ドキュメンタリーの力』鎌仲ひとみ,金聖雄,海南友子(子どもの未来社・寺子屋新書、2005年)

『未来創造としての「戦後補償」』水島朝穂編(現代人文社2003年)

『戦後補償と国際人道法 : 個人の請求権をめぐって』申惠[ボン],高木喜孝,永野貫太郎編(明石書店2005年)

『砂上の障壁 : 中国人戦後補償裁判10年の軌跡』中国人戦争被害賠償請求事件弁護団編(日本評論社2005年)

『日韓の相互理解と戦後補償』池明観〔ほか〕編著(日本評論社2002年)

『戦後補償から考える日本とアジア』内海愛子(山川出版社2002年)

『グローバル化する戦後補償裁判』奥田安弘,山口二郎編(信山社2002年)

『今なぜ戦後補償か』高木健一(講談社現代新書2001年)

『戦後補償とは何か』朝日新聞戦後補償問題取材班(朝日文庫1999年)

『中国人戦争被害者と戦後補償』松尾章一編(岩波ブックレット1998年)

『地雷なき地球へ : 夢を現実にした人びと』目加田説子(岩波書店1998年)

 

『七三一部隊 : 生物兵器犯罪の真実』常石敬一(講談社現代新書、1995年)

『医学者たちの組織犯罪 : 関東軍第七三一部隊』常石敬一(朝日文庫、1999年)

『化学兵器犯罪』常石敬一(講談社現代新書、2003年)

『戦場の疫学』常石敬一(海鳴社、2005年)

『生物化学兵器の真実』E.クロディー常石敬一,杉島正秋訳(シュプリンガー・フェアラーク東京2003年)

『核・細菌・毒物戦争 : 大量破壊兵器の恐怖』ジェシカ・スターン常石敬一訳(講談社2002年)

『消えた細菌戦部隊 : 関東軍第七三一部隊』常石敬一(ちくま文庫1993年)

『細菌戦部隊と自決した二人の医学者』常石敬一,朝野富三(新潮社1982年)常石は長崎大学教授を経て神奈川大学教授。日本軍が中国で使った生物化学兵器に詳しい。

『生物化学兵器』和気朗(中公新書1966年)

『生物兵器と化学兵器』井上尚英(中公新書2003年)

 

『遺棄化学兵器の安全な廃棄技術に向けて : 荒廃した生活環境の先端技術による回復研究連絡委員会報告』日本学術会議2001

『遺棄化学兵器の廃棄技術に対する科学的リスク評価とリスク管理を目指して : 荒廃した生活環境の先端技術による回復研究連絡委員会報告』日本学術会議荒廃した生活環境の先端技術による回復研究連絡委員会2002

『遺棄化学兵器の安全な廃棄技術に向けて』日本学術会議2004

『老朽・遺棄化学兵器のリスク評価と安全な高度廃棄処理技術の開発 : 荒廃した生活環境の回復研究連絡委員会遺棄化学兵器に対する高度処理技術の開発専門委員会報告』日本学術会議荒廃した生活環境の回復研究連絡委員会遺棄化学兵器に対する高度処理技術の開発専門委員会2005

『不発弾処理』関東建設弘済会編(建設省関東地方建設局利根川上流工事事務所1981年)

『オヤジたちの国際貢献 : 35,256発の不発弾処理1,732回の爆破処理』日本地雷処理を支援する会2005

以上6点は国会図書館所蔵

 

参考ネット情報

化学兵器禁止条約(CWC) 外務省サイト

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/bwc/cwc/

化学兵器禁止条約 ウィキペディア

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8C%96%E5%AD%A6%E5%85%B5%E5%99%A8%E7%A6%81%E6%AD%A2%E6%9D%A1%E7%B4%84

 

●日本の条約上の義務

中国遺棄化学兵器処理に関する日中間の覚書の署名について

平成11730

1.わが国政府は、中華人民共和国政府との間で、化学兵器禁止条約に基づく中国の遺棄化学兵器処理の基本的枠組みにつき認識の一致をみ、これに従い、遺棄化学兵器の廃棄に関する覚書の署名が730日(金)北京において、わが方谷野作太郎在中華人民共和国大使と先方王毅中華人民共和国外交部部長助理との間で行われた。

2.わが国は平成3年より、中国に残置されている旧日本軍の化学兵器につき実態把握のための現地調査を鋭意進めるとともに、化学兵器禁止条約の発効を間近に控えた平成94月より日中共同作業グループ会合を開催し、今後の処理に関する基本な考え方や処理の段取り等につき中国側と協議を続けてきた。

 本件廃棄処理については、化学兵器禁止条約に基づいて取り組んでいくことで日中双方が一致しているが、従来からの協議内容を踏まえて今後の処理の枠組みについての日中間の一致した認識を確認したいとの中国側の意向を受けて、日中間で鋭意協議を行ってきた。この程、化学兵器禁止条約に基づく遺棄化学兵器の廃棄に際して必要となる両政府間の協力の内容等につき認識の一致をみたので、覚書に署名を行うこととなった。

3.覚書は別紙参照。なお、主要点は以下のとおり。

1)両国政府は、累次に亘る共同調査を経て、中華人民共和国国内に大量の旧日本軍の遺棄化学兵器が存在していることを確認した。

2)旧日本軍のものであると既に確認され、および今後確認される化学兵器の廃棄問題に対し、日本国政府は「化学兵器禁止条約」に従って遺棄締約国として負っている義務を誠実に履行する。

3)日本国政府は、「化学兵器禁止条約」の規定に従って、遺棄化学兵器の廃棄のため、すべての必要な資金、技術、専門家、施設およびその他の資源を提供する。中華人民共和国政府は廃棄に対し適切な協力を行う。

4)日本国政府は、上記の廃棄に係る作業を進めるにあたり、中華人民共和国の法律を遵守し、中華人民共和国の領土の生態環境に汚染をもたらさないことおよび人員の安全を確保することを最も優先させることを確認する。この基礎の上に、中華人民共和国政府は中華人民共和国国内で廃棄を行うことに同意する。

5)廃棄の具体的な場所、廃棄施設の建設等の問題は、両国政府が協議して確定する。廃棄作業を行う際に遵守される環境に関する基準に関し、両国政府は原則として中華人民共和国の国家基準を採用することとし、双方は環境影響評価および環境監視測定を行うこととした。

6)廃棄の対象、廃棄の規則および廃棄の期限については、両国政府は「化学兵器禁止条約」に基づき、協議して確定する。

7)両国政府は、廃棄効率、安全および環境面で十分な信頼性がある、成熟した廃棄技術を選定するものとし、具体的な廃棄処理技術の種類については、日中共同作業グループにおける双方の専門家による十分な検討、論証の後に、透明性および公平性を確保した方法で、最終的に確定されることとする。

8)廃棄の過程で万一事故が発生した場合には、両国政府は直ちに協議を行い、その基礎の上に、日本側として必要な補償を与えるため、双方が満足する措置をとる。中国側は日本側の措置に適切な協力を行う。

出典 外務省サイト

http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/china/cw/shomei.html

 

(別紙)

日本国政府及び中華人民共和国政府による

中国における日本の遺棄化学兵器の廃棄に関する覚書

 日本国政府及び中華人民共和国政府は、日中共同声明と日中平和友好条約を銘記し、1997429日に発効した「化学兵器の開発、生産、貯蔵及び使用の禁止並びに廃棄に関する条約」(以下「化学兵器禁止条約」という。)の関係規定に基づき、中国における日本の遺棄化学兵器の問題を出来るだけ早く解決することの緊迫性を認識し、本件問題について以下のとおり共通の認識に達した。

1.両国政府は、累次に亘る共同調査を経て、中華人民共和国国内に大量の旧日本軍の遺棄化学兵器が存在していることを確認した。旧日本軍のものであると既に確認され、及び今後確認される化学兵器の廃棄問題に対し、日本国政府は「化学兵器禁止条約」に従って遺棄締約国として負っている義務を誠実に履行する。

2.日本国政府は、「化学兵器禁止条約」に基づき、旧日本軍が中華人民共和国国内に遺棄した化学兵器の廃棄を行う。上記の廃棄を行うときは、日本国政府は化学兵器禁止条約検証附属書第4部(B15の規定に従って、遺棄化学兵器の廃棄のため、すべての必要な資金、技術、専門家、施設及びその他の資源を提供する。中華人民共和国政府は廃棄に対し適切な協力を行う。

3.日本国政府は、上記の廃棄に係る作業を進めるにあたり、中華人民共和国の法律を遵守し、中華人民共和国の領土の生態環境に汚染をもたらさないこと及び人員の安全を確保することを最も優先させることを確認する。この基礎の上に、中華人民共和国政府は中華人民共和国国内で廃棄を行うことに同意する。

 廃棄の具体的な場所、廃棄施設の建設等の問題は、両国政府が協議して確定する。廃棄作業を行う際に遵守される環境に関する基準に関し、両国政府は原則として中華人民共和国の国家基準を採用することとし、双方は環境影響評価及び環境監視測定を行うこととした。

 廃棄の対象、廃棄の規則及び廃棄の期限については、両国政府は「化学兵器禁止条約」に基づき、協議して確定する。

4.両国政府は、廃棄効率、安全及び環境面で十分な信頼性がある、成熟した廃棄技術を選定するものとし、具体的な廃棄処理技術の種類については、日中共同作業グループにおける双方の専門家による十分な検討、論証の後に、透明性及び公平性を確保した方法で、最終的に確定されることとする。

5.廃棄の過程で万一事故が発生した場合には、両国政府は直ちに協議を行い、その基礎の上に、日本側として必要な補償を与えるため、双方が満足する措置をとる。中国側は日本側の措置に適切な協力を行う。

6.今後の廃棄作業の計画、実施、運営等の問題に関しては、両国政府は日中共同作業グループ等の協議を通じて、解決されることを確認する。

7.両国政府は、廃棄作業において意見が異なる問題については引き続き協議することを確認する。

8.中国における日本の遺棄化学兵器廃棄事業は本覚書の署名の日より実施に移される。本覚書の内容を変更又は補充することが必要な場合には、双方の同意の下にこれを行うことができる。

 

日本国駐中華人民共和国   中華人民共和国外交部

特命全権大使        部長助理

(谷野作太郎)       (王 毅)

1999730日 於 北京 

出典 外務省サイト

http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/china/cw/oboegaki.html

 

●旧日本軍の遺棄化学兵器問題は、国内では神栖町が有名だが、朝日新聞記事データベース(長崎大学サイト→附属図書館→サービス案内→電子情報→データベース→新聞)で「神栖町&毒ガス」を検索すると135件出てくるが最新の記事は下記の通り。なお遺棄化学兵器について国内は環境省所管、国外(主に中国)は外務省所管。環境省に市民が国外情報を提供しても聞いてくれないらしい(縦割り行政)。

 

(リポート)毒ガス弾、消えぬ不安 付近に病院・高齢者施設 /千葉県

朝日新聞20071021日朝刊 千葉1地方 35頁 1936文字

 

 千葉市内の民間農場で旧日本軍の毒ガス弾と見られる不発弾4発が見つかった。市などは現場を封鎖し、環境省がほかの不発弾の有無について調査する方針を決めた。農場は旧陸軍の演習場があった所で「まだ毒ガス弾が埋まっているのでは」と住民の不安は消えない。戦後62年。なおも戦争の後始末が終わらない。(石平道典)

 「埋蔵物調査のため、道路を封鎖します」

 不発弾が見つかった、千葉市稲毛区長沼原町内にある民間の研究農場。8日以降、3カ所ある入り口はすべて封鎖され、「通行止め」の看板が掲げられている。

 15ヘクタールの農場は住宅街の中に位置し、周りを高さ1・5メートルのフェンスに囲まれている。付近の交通量は多く、病院や高齢者施設が隣接している。

 「こんなところに不発弾なんて。怖いですね」。通院する女性(63)は顔をこわばらせていた。

 不発弾は5月2日と8月1日に1発ずつ、同6日に2発見つかった。いずれも鉄製で直径9センチ、長さ40センチ、重さ5キロ。地中約50センチのところに埋まっていた。農場職員が耕うん作業中に発見した。

 防衛省によると、X線検査の結果、毒ガス弾の可能性があるという。爆発やガス漏出の危険性はないが、群馬県の陸上自衛隊弾薬支処内に密閉状態で保管している。ただ、毒ガス弾かどうかは砲弾に穴を開けて内容物を調べなければならず、確定は困難という。

 ほかに砲弾は埋まっていないかを調べるため、環境省は農場内の磁気探査などを行う方針だが、時期について「できるだけ早く」としか明かさず、いつまで封鎖が続くかわかならい。

 

 ○発見・被災、今も各地で

 いまだに全国で毒ガス弾などが見つかっていて、時には人的な被害も出ている。

 神奈川県寒川町と平塚市の工場現場では01~03年、毒ガス残留物で作業員に発疹や頭痛などの症状が出た。茨城県神栖町(現神栖市)では03年、井戸水から有機ヒ素化合物が検出され、住民が手足のしびれを訴えた。

 これら毒ガス弾について、環境省の毒ガス情報センターは「旧日本軍によって遺棄されたとみられる」と説明する。

 第1次大戦の頃から日本でも毒ガスが研究、製造されるようになった。県内では1933(昭和8)年、教育訓練のため旧陸軍習志野学校(習志野市、船橋市)が開設され、そこに相当量の毒ガス弾が保有されていた、とされる。

 戦後、米軍が進駐すると主に海中投棄されたが、進駐前は地中に埋設された例も多い。県内の場合、銚子沖に投棄されたほか、同学校の敷地内にも埋められたという。

 同省が03年に公表した全国調査によると、県内では51年~02年に毒ガス弾などの発見・被災・処理が計631件あり、うち銚子沖で漁船が引き揚げるなど計606件が報告された=表参照。

 ◇農場外調査、住民は要望

 今回、不発弾が見つかった千葉市の農場では62年にも9発の砲弾が発見され、解体しようとした2人が被災している。

 戦時中、辺りは旧陸軍の演習場の一部だった。このため、毒ガス弾の情報を受けた環境省は04~05年に農場と周辺の大気や土壌、地下水を調査したが、毒ガス成分は検出されなかったという。

 同省の森下哲・環境リスク評価室長は「毒ガス弾の発見は過去に1回しかなく、農場を重点的に調べることで安全性が確保できる」と強調する。

 だが、住民の不安は消えない。

 8日に農場付近で開かれた住民説明会では、参加者から「まだ毒ガス弾が見つかる可能性はあるのでは」「農場以外も調査するべきだ」という訴えが相次いだ。これに対し、国側は「周辺への危険性はない」と繰り返すばかりだった。

 ◆キーワード

 <毒ガス弾> やけどや呼吸器に障害を与えるびらん剤(マスタード、ルイサイト)、くしゃみや吐き気を起こすくしゃみ剤、催涙剤、窒息剤などが知られる。旧日本軍が生産した毒ガス弾は中国や、本土決戦に備えて全国に配備されたが正確な場所は不明。環境省の03年全国調査では、習志野市▽茨城県神栖町(現神栖市)▽神奈川県寒川町▽同平塚市の4カ所は存在が確実視される。中国には70万発が残されているという。

■県内での毒ガス弾などの発見・被災・処理状況

    【発見】 【被災】     【処理】 

銚子沖 588件 13件(計79人) 5件 

習志野市  5件 1件(計14人)  1件 

千葉市   3件 1件(計2人)   ―― 

富津沖   8件 5件(計8人)   ―― 

松戸市   ―― ――        1件 

<※環境省「昭和48年の『旧軍毒ガス弾等の全国調査』フォローアップ調査報告書」(03年公表/04年更新)から>

 【写真説明】

不発弾4発が見つかった農場。入り口は厳重に封鎖されている=千葉市稲毛区長沼原町内で

 

 

●大量破壊兵器と国際法

○毒ガス等の禁止に関する議定書

 1925年署名、1928年発効(日本の加盟は1970年)。窒息性ガス、毒性ガス、細菌兵器などを戦争に利用する事を禁止した条約。

  関連用語⇒ジュネーブ諸条約

○ジュネーブ諸条約

 1949年署名、1950年発効(日本の加盟は1953年)。追加議定書は1977年採択、1978年発効。赤十字諸条約ともいわれる、戦時国際法についてまとめた条約。4つの条約と2つの追加議定書からなり、戦争のルールについて、書かれている。

  関連用語⇒ハーグ陸戦条約

  詳細⇒ジュネーブ諸条約

○ハーグ陸戦条約(法規)

 1907年署名、1910年発効(日本の発効は1912年)。1899年のハーグ平和会議で採択された条約のひとつ。初めて条約として成文化された戦時国際法といわれている。交戦者の資格や捕虜の取扱い、害敵手段の制限、降伏規約などが盛り込まれている。

  関連用語⇒ジュネーブ諸条約

  詳細⇒第2部 紛争の平和的解決をめざして 1.戦争禁止の歴史

     ⇒ハーグ陸戦条約

  質疑⇒Q5:不戦条約での日本の立場

     ⇒Q6:義勇兵や民兵って何ですか?

     ⇒Q7:従軍商人って何ですか?

     ⇒Q8:正規軍は国際法を学んでいますか

     ⇒Q9:核兵器は国際法違反?

○化学兵器禁止条約(化学兵器の開発、生産、貯蔵及び使用の禁止並びに廃棄に関する条約) 1997年発効(日本の批准は同年)。窒息性ガスなどの化学兵器の撲滅を目指した条約。条約加盟国は化学兵器の生産や貯蔵、使用はもとより、所有する化学兵器の適切な廃棄までの義務を負う。例え他国に遺棄した兵器であっても、その廃棄を責任を持って行わなければならない。

  関連用語⇒ジュネーブ諸条約

 

国際法・用語の解説 http://www4.ocn.ne.jp/~tishiki/yougokaisetu.html

国際法を学ぼう http://www4.ocn.ne.jp/~tishiki/kokusaihou.html

なおこのサイトの制作者は福岡在住・本名不明・正体(職業・勤務先等)不明。

 

○ジュネーブ諸条約

この部の目次

1.ジュネーブ諸条約とは

2.第一、第二条約の解説

3.第三条約の解説

4.第四条約、及び追加議定書の解説

5.まとめ

 

.ジュネーブ諸条約とは

 この部では、ジュネーブ諸条約を解説します。

 ジュネーブ諸条約は、戦争犠牲者保護条約、或いは赤十字諸条約ともいわれ、次の4つの条約と2つの追加議定書からなります。

・戦地にある軍隊の傷者及び病者の状態の改善に関する条約(第一条約)

・海上にある軍隊の傷者、病者及び難船者の状態の改善に関する条約(第二条約)

・捕虜の待遇に関する条約(第三条約)

・戦時における文民の保護に関する条約(第四条約)

・国際的武力紛争の犠牲者の保護に関する追加議定書(第一議定書)

・非国際的武力紛争の犠牲者の保護に関する追加議定書(第二議定書)

 これらの条約は1949年に締結されたものです(追加議定書は1977年)。

 第一条約は、1864年に締結された『赤十字条約』を発展させたものです。第二条約は1899年の『ジュネーブ条約の原則を海戦に応用する条約』を改訂したものであり、第三、第四条約はハーグ陸戦規則にある条文を独立させたものになります。

 また追加議定書は、ジュネーブ諸条約が持っていた欠点を補い、新兵器や新戦略に対応できるように作られました。

 それでは、条約の内容をみていきます。

以下省略

http://www4.ocn.ne.jp/~tishiki/junebujouyaku.html

 

第一次大戦でドイツ、イギリス、フランスのあいだで毒ガスの応酬があり、世界は化学兵器の悲惨を学んだ。そこで、上記のように「毒ガス等の禁止に関する議定書」(1925年署名、1928年発効、日本の加盟は1970年。窒息性ガス、毒性ガス、細菌兵器などを戦争に利用する事を禁止した条約)を締結した。石井四郎(京都帝国大学医学部卒、医学博士、帝国陸軍軍医中将、関東軍防疫給水部=731部隊指揮官、中国人に対して細菌兵器を使用)は若い頃の欧州留学でこの議定書を学んだ。そのときに石井が得た「教訓」は「禁止されるほど強力なのか。ではこっそり研究して使おう」であった。

日本政府の言い分は

1.毒ガス議定書で使用は禁止されていたが、遺棄は禁止されていなかった。

2.日中戦争当時、日本は毒ガス議定書に加盟していなかった。

であろうか?

ところで国連の化学兵器禁止条約(化学兵器の開発、生産、貯蔵及び使用の禁止並びに廃棄に関する条約、1993年採択、1997年発効、日本の批准も1997年)は、前述のように「窒息性ガスなどの化学兵器の撲滅を目指した条約。条約加盟国は化学兵器の生産や貯蔵、使用はもとより、所有する化学兵器の適切な廃棄までの義務を負う。例え他国に遺棄した兵器であっても、その廃棄を、責任を持って行わなければならない。」という内容である。そこで、日本政府には遺棄化学兵器の処理義務が生じた。1999年に日本政府と中国政府が協定したが、その内容は外務省サイトから先に転載した通りである。

さて大量破壊兵器とは何であろうか? 核兵器、化学兵器、生物兵器だけなのか? 通常兵器は大量破壊しないのか? 1945年3月の米軍による東京大空襲では、通常兵器(大型爆撃機300機、爆弾と焼夷弾10万発)で一晩に10万人が殺された。第二次大戦で核兵器を使用したのは米国だけである。ナチスでさえ化学兵器を使わなかったので(戦争では使わなかったが、ユダヤ人虐殺にはある種の毒ガスも用いた)、日本だけが化学兵器と生物兵器を使った。中国においてである。東京裁判(極東国際軍事裁判)では、

1.核兵器使用は戦勝国の犯罪なので訴追されなかった(東京大空襲も同じ)。

2.化学兵器は検察官の訴状に記載されていたが、裁判の途中でうやむやになった。これにも米軍上層部の意向があったと言われる。

3.生物兵器については、石井は米国政府・米軍との取引に成功して戦犯免責を勝ち取った。すなわち米国政府は石井の戦犯訴追よりも、石井の生物兵器およびその人体実験データを取得するほうが国益にかなうと判断した。

石井についてはいくつかの文献(前掲の常石敬一の著書など)と映像資料を研究室に所蔵している。

 

『731部隊の戦後』NCC(テレビ朝日系)、1999年4月23日、46

キーワード:石井四郎軍医中将、生物兵器、捕虜に人体実験、戦争犯罪、東京裁判、米軍と非公式の司法取引で免責

 

『日本軍731部隊』NIB(日本テレビ系)、知ってるつもり、2000年3月5日、46

キーワード:石井四郎軍医中将、生物兵器、捕虜に人体実験、戦争犯罪、東京裁判、米軍と非公式の司法取引で免責

 

 

●学生の感想

「とてもショックを受けた。人道的な面を考慮して、補償したほうがいいと思う」(男子)

「資料の通り、情報の中国側への提供は政府の義務だが、賠償責任までは認められない。この判決で正しいと思う」(男子)

「基本的に人が死ぬっていうことを軽く考えていると思った」(男子)

「日本は中国に対して本当に多くの戦争の爪痕を残したんだと思いました。韓国にも同じだと思います。心の傷、身体的なものだけじゃなく、戦争の後の不発弾はやはり日本政府が責任をとるべきでしょう。」(女子)

「毒ガス兵器に限らず従軍慰安婦の問題など、日本はまだ多くの戦争に関係している問題を抱えている。一刻も早く解決して被害者を平穏に導いて欲しいと思った」(男子)

「自分がやり残したことを自分で片付けるのは当然だと思います」(男子)

「日本政府はきちんと責任を取るべきだと感じた」(男子)

「アフリカ、中東でよく地雷や不発弾による被害があるのは知っていましたが、中国でしかも日本が加害者となっているのは初めて知りました。日本は地雷撤去に貢献していると思っていましたが、自国の責任となるとやはり政府の対応が違いますね」(女子)

「ビデオを見ているときに最近ニュースでたびたび放送している原爆症認定問題について思い出した。原爆症の認定基準を国が変えて補償範囲を広げるということであったが、原爆を落とされた日本国家がそれに対して補償するのに中国は補償しないのであろうか。そもそも戦争被害に対する補償は国によって対応が異なることがおかしいのではないかと思った」(女子)

「毒ガスのビデオを見てそんなことをしていた日本が中国の人に嫌われるのは当たり前だと思った。私たちの世代がしたことではないのに自分たちが責任を持たなければならないのは辛いと思った。将来の子供たちも環境問題のことなど、自分がやったことじゃないのにと思うだろう」(女子)

戸田注 先行世代から正の遺産(工業国としての基礎など)を継承しているのだから、負の遺産(他国への補償責任など)も継承するしかないと思う。

「戦争の影響が時代を越えてなお人々に重くのしかかっていると思うと、いたたまれなくなる。確かに遺棄は禁じられてはいなかったが、日本は何らかの責任をとらなくてはいけないのではないだろうか。それとも遺族側が敗訴したということからも、日本政府の主張が正しかったのだろうか。どちらにしても戦争が残すのは憎しみや悲しみだということを再認識させられた。」(男子)

「相手が中国人であろうが、日本政府はきちんとした対応をすべきで、過去の課題を解決することが現在世代の我々の責任であり、未来に残してはならない。」(男子)

「毒ガスや砲弾や地雷など戦争によって残されたものが世界各地で問題となっているが、その中でも我々日本人が残したもので人が傷ついていると考えると、申し訳ない気持ちでいっぱいである」(男子)

「旧日本軍の毒ガスの事件のことを知らなかったのでとても驚きました。今も苦しむ人がいるというのに、なぜ日本政府は救済しないのでしょうか。たとえ昔のことであっても私たち日本人が犯した罪なのだから、償うのは徒然のことだと思います」(女子)

「中国人遺族らの訴えは当然で、話を聞いている限り、日本政府が悪いと思う。しかし当時の国際法や他の国の可能性などの要因を挙げると確かにしょうがなったのかなと思えたりもする。日本政府はこれから中国と積極的に友好的な関係を築きたいと考えるのならこういった過去の事件や罪を償っていくべきであると思う。また人間として人間をしっかり見ていかなければならないと思う」(女子)

「日本は自分たちが犯した過ちはきちんと清算すべきだと思った」(男子)

「中国での毒ガスの問題は深刻だった。遺族の悲しみや苦しみは相当なものであっただろう。だが前の政府の罪を今の政府に求めるのは少し難しいかもしれないと思った。やはり戦争は悲劇しか生み出さないと思った」(男子)

戸田注 三菱朝鮮人徴用工裁判で被告は「国家無答責論」や「三菱別会社論」(財閥解体、独禁法による分割の前後では別の会社とする)を長崎地裁で主張した。明治憲法では国家無答責。日本国憲法では国家賠償法、国賠訴訟。

「日本政府が責任を認めない理由がよくわかりませんでした。公害問題のときも政府はなかなか事実を受け入れなかったのでそれと同じなのだろうかと思いました」(女子)

戸田注 公害問題と戦後補償では共通点(責任を認めたくない)と相違点(戦後補償での国家無答責論や、日本人原告に対する戦争被害受忍論など)がある。

「中国での工事作業を進める側も旧日本軍がいたことのある地域での工事に際して全く無策なのかという点が気になりました。現日本政府も当時のデータが残っていないためわからない分はともかく、可能性のある地域の情報くらいは、出せる限りは出してもよいのでは?と思いました。(少なくともODAも完全に止めて、その代わりにわかっているものだけでも処理するなど)(男子)

「このように戦争後も人々を苦しめる問題が世界各国で起こるであろうと思うと、誰が責任を持って解決させていくのかとても気になる」(女子)

「毒ガス遺棄に対しての責任を国が負わないのはおかしいと思う。一審を取り消した時の「被害回避は困難だった」は理由になっていないのではないだろうか。回避できなかったらその責任を負うことが普通であると思うのだが……」(男子)

「あの家族がすごくかわいそうだった。お金の援助はしなければならないと思う。日本政府は言い逃れしているように見えた。どうなってしまうのだろう」(女子)

「日本と中国は現在も数多くの問題を抱えているが、今日の砲弾遺棄もそのひとつであると思った。戦時中に起こった出来事は日本側に主に責任があると思った。日本は事実を認め、適切な対応をすべきだと思った」(男子)

「戦争の影響で今でも苦しめられている人がいるのは悲しいと思った。戦後処理をちゃんとやって欲しいと思います。日本政府が中国の被害者たちの願いを聞き入れなかったのは残念です。」(男子)

「日本が悪いと一方的に思うことはできないですが、こういう事実があったということを心に留め参考にしたいと思います」(男子)

「戦争が終わったあとでも、残された地雷や不発弾で今なお被害を受けている人がいる。戦争はその後の人々をも傷つけるものだと思った。そして私たちはそのことを知らなさすぎると感じた」(男子)

「日本政府の法解釈があまりにも身勝手な気がします。捨てたらだめだとなっていなかったから放置とは子供以下ですね」(男子)

「日本も責任はとるべきだが、中国政府も政治が間違っていると思う。父親一人が倒れると家族が困るのは社会システムがうまくいっていないということもあるから」(男子)

「日本だけで解決していき、他国のことについては無関心、無関係をつらぬこうとするその姿勢に腹が立ちました。そこまで責任をとることがやはり必要ですよね。」(男子)

「戦争が終わってもその影響が残り苦しんでいる人が多くいるのは残念なことです」(男子)

「日本政府は自分たちがやった戦争に対してもっと責任を負うべきだと思った」(男子)

「日本が格差を広げるような政策をやっているのはなぜなのか? 不思議に思った」(男子)

戸田注 これは格差社会についての図表(山藤卒論)を見せたことへの感想。1980年頃から新自由主義的政策が世界の流行になっている。

「日本政府が賠償責任を果たそうとしないことはおかしいと思います。また控訴の結果はどうなったのでしょうか」(男子)

戸田注 配布記事にように2007年に高裁で逆転敗訴。現在最高裁。

「当時の日本が残した不発弾や毒ガス兵器によって苦しんでいる人がいるのに、救済しようとしない日本政府はひどすぎると思います。無駄な公共事業をやるお金があるのなら、その予算を賠償金にまわせばいいのにと思いました。いくら今の日本がやったことではなくとも、中国に不発弾や毒ガス兵器を残していったのは確かに日本なのだから、日本が作ったものによって多くの人が死んだり苦しんだりしているのを見て政府の人たちは心がいたまないのでしょうか。このような戦争の裁判で負けるという事例をつくると次々に賠償金訴訟が起こるので政府は負けを認めたくないのでしょうが、はっきり言って明らかに非があるのに認めない日本の姿は非常にかっこわるく、恥ずかしいです。このようなあきらかに非があるのに認めない裁判は現在行われている薬害肝炎訴訟にもいえることだと思います」(女子)

「中国人の毒ガス問題。被害者の方があんなに貧しくて困っているのに、日本政府は何をやっているのだろうか。日本人として悲しく思う」(男子)

「ニュースでもこんな裁判がおこっているなんて知らなかった。日本は原爆の被害をうけていまもまだその後遺症がある人もいるが、同じことだと思う。原爆病院などの費用はどこから出ているのですか? 日本? 日本が悪いことはわかるけど、中国政府は何もしていないのですか?」(女子)

戸田注 被爆者手帳所持、原爆症認定で国から医療費の補助が出る(被爆者援護法)。中国も福祉国家としての国民への義務を果たしていない。

「とても心に痛いVTRでした。しっかり起きたことに目を向けて対応することができる政府であってほしいとそう感じました。心臓の悪い母親を想い、自分はどうでもいいから母親に楽をさせてあげたいと望んでいた娘の言葉がとても印象に残っています」(女子)

「イラク戦争でのアメリカがイラクに大きな被害をもたらしたのと同様に、日本も中国に戦争の爪痕を残していたことを、このビデオで思い出しました。戦争は最中だけでなく、その後も人々に影響を与える。今回の被害者の生の声はとても苦しいものでした。政府が素直に罪を償い、謝罪をしようとしない態度がどうしても納得いきませんでした」(女子)

「命がなくなるだけでなく、それまでにかかった治療代が借金として残っているのが苦しそうでした。「責任がこわいんだ」と言っていましたが、本当にその通りだと思いました」(女子)

「日本のせいで家族を失った人々がかわいそうでしかたない」(男子)

「今なお残る戦争の産物に苦しめられている人を見て、日本がおかした過ちの悲惨なことを改めて感じた」(男子)

「日本軍が残した人々への毒ガス後遺症や不発弾が人々の生活を大きく変えてしまったことは本当につらいことだと思います。また、ビデオの中の「日本政府は私たちの生活を知っているの?」という言葉が痛かったです。しかし、やはり悪いのは〝今の日本政府〟ではなく〝昔の日本政府〟だと思ってしまうので、今の日本政府を責められると今の日本国民全てを責められている気持ちになり、むなしいです」(女子)

「中国の現在の発展はすごいものだが、一方でかなり貧富の差が激しい。先生の言ったように、被害者たちや貧しい人々に対する援助のあり方を見直すべきだと思う。日本も時には被害者であり、加害者ともなりえる。日本も貧富の差が大きくなっているが、医療費においても、授業料においても、何かとお金がかかる。国際的な問題も、もちろん大切さが、国民のことにももっと目を向けてほしい」(女子)

「先生の授業を通して、国という〝権力〟の矛盾をひしひしと感じます。自分たちも決して無関心ではいられません。自分の身は自分で守らなければ国は救ってくれない。自己防衛を常にしなければと実感しました」(男子)

「遺棄してはいけないという義務がなかったにせよ、国家レベルの問題であれば、真摯に受け止めてきちんとした対応をとるべきだ」(男子)

「世銀のトップの暗黙のルール、こういう情報ってどこから入手しているんですか? ブラックな部分の情報は、ブラックな人たちから入手するんですか?」(男子)

戸田注 世界銀行の総裁ポスト人事権を米国政府が独占していることは周知で、ウィキペディアにも明記されている。私は「ブラックな人たち」には面識がない。すべて公開情報を利用している。

「このような戦後補償問題、賠償問題については日本、中国それぞれの対応の問題について私は自分なりの考えを持っているので、日本が悪いと一方的に考えることはできないのですが、参考になりました。」(男子)

「日本政府には賠償を行う責任があると思います。それは、原爆の被災者に対するアメリカの対応にも同じことが言えると思います。同じルールのもとで戦争をしていたので、戦勝国だとしても、それに対する責任を負うべきです。廃棄されたか、爆発の可能性があるものは、分かっている分でも回収、処理すべきだと思います」(女子)

「この講義では今回のようなビデオを見ることが多いですが、毎回心が痛んだり(同じ日本人がやっていることだと思うと)なさけなくなったりします。適切に対応しなければ、永遠に悲しみ続ける人が増え、新たな悲しみを作り出す(戦争など)原因になると思います」(女子)

「世界銀行のトップがずっとアメリカというのは異様だなと思いました。出資比率に応じて投票権を与えるというのはわかる気がしました。」(女子)

「国際法が禁じたのは使用だけで遺棄は大丈夫などとよく言えたものだと思う。日本政府もやはり都合の悪いことをもみ消そうとしてうるところがあるのは以前から知っていたけど、こうして実際の画面でみると、やはり沈んでしまう。」(男子)

「毒ガス事件について、日本政府の対応にものすごく腹が立った。責任はどう考えても日本政府が負うべきだ。遺族の苦しみとかを想像したら、やりきれない気持ちになってくる」(男子)

「日本の毒ガス兵器のように、他の国にも劣化ウラン弾や地雷などの被害にあっている人々がいると思うのですが、その人たちには何らかの賠償があるのでしょうか」(男子)

戸田注 通常兵器の誤爆でも、クラスター爆弾や劣化ウラン弾、地雷などでも、米国政府、英国政府などによる賠償は皆無に近い。

「先週見たビデオのニカラグアの状況について、現在はどうなっているのかが気になっていたが、あれが最悪の時期だったと聞いて少し安心した。毒ガス遺棄については、日本が明らかに悪いと思う。家族の幸せを奪っているのに、被害者たちを長く苦しめて、日本政府は何をやっているのだろうと思った。日本人でいることが少し恥ずかしく感じた」(女子)

「日本政府の責任逃れにはあきれるばかりだ。これはそのせいで苦しんでいるだれかが生きているうちに解決しなければいけない問題だ」(男子)

「今日のビデオを見て、今まではニュースのひとつでしかなかった出来事が、とても重要で軽く扱ってはならないものだと思った。日本政府は救済をしっかりと行うのだろうか」(男子)

「今日見たビデオで戦争の後遺症というものを深く実感した。戦争を起こしたという事実もうくつがえらないのだが、その後の処理というのは本当に大切である。しかしそれに費やす費用は本当に莫大なもので、このことまで考えると戦争はしないほうがよかったということにいきつくと思う。やはり戦争は経済的に考えてプラスなものではない」(男子)

「今日は日中戦争で日本軍が中国に残していった毒ガス兵器や砲弾のために死傷してしまったが、日本政府が責任を認めないために苦しんでいる人のビデオを見ましたが、日本政府や中国政府は被害を受けた人々の生活を助けるべきだと思いました」(男子)

「昔の日本軍の残虐さというのは計り知れないものだと思った。毒ガスの使用などはいくら戦争とはいえ、決して許されないと思う。今の日本政府がどんな形であれ、償うべきだと思う」(男子)

「日本は後のことも考えないで毒ガスを使用したのか? 関係のない人々まで巻き込んで、長期間支援もせず、困難な生活をさせ、人間らしい人生を送れない人々の映像を見て、心が痛かった」(男子)

「たとえ傷つける意志がなくても、結果的に被害を受けてしまったのだから、それに対する責任はとらないといけないと思います。日本政府には中国人遺族の方の生活の実状をもって知って欲しいと思います」(男子)

「やはり日本政府は被害者の方が言っていたように事実を認めるのが怖いんだと思いました」(女子)

「すごく難しい問題だと思う。中国人遺族だけに救済がないのはひどいと思う。そこで国が責任を逃れてはいけない。でも、過去のことをすべて認めて責任をとっていくのもどうかと思う」(女子)

「中国における毒ガス被害は深刻なものであったが、昔の政府のせいにしていてもこの問題は解決できないので、もっと今の政府が対応すべきだと思う」(男子)

「戦争が終わって60年も経った今も苦しんでいる人がいることにショックを受けました。戦時中に日本軍が中国の人々に対して酷いことをしてきたのは知っていましたが、今でもその影響が人々の生活を苦しめているとは何とも言えない事実でした。昔の人がやってしまったこととはいえ、やはり日本が償うのが妥当だと思います。しかしあれほど酷い生活をしなければならない国民がいるのに、中国の政府は何もしてあげないのかと疑問でした」(男子)

戸田注 確かに重病をすると医療費の負担で自己破産する米国の無保険者(4000万人)のような状況である。

「時々、大きな会社や政府は、なぜこんな対応がとれるのだろう?と思う時があります。おそらく、そちらにはそちらの事情があるのでしょうが、私たちから見ると、人として、どうなのだろう、と思わざるをえないです。小学校、中学校の平和学習では原爆ばかりで「日本は被害者だ」みたいに思いますが、実は日本はアジア諸国に被害を与えた加害者であること。そのこともまた事実です。」(女子)

「中国人への賠償をすることは当然と考える。問題はそれを拒む日本政府に納得させる方法であろう」(男子)

「旧日本軍が遺棄した毒ガスを浴びて後遺症が残って働けなくなったり、不発弾の爆発で死んでしまった人がいるという事実を知った。治療費の負担で被害者が破産するのは悲惨だと思った」(男子)

「過去の戦争で残してしまったものが、現代の平和な時代に生きている人々を傷つけ、その家族らを苦しませているなんて知りませんでした。どうして国はこの問題を素直に受け止め、賠償を行わないのでしょうか。何か特別な理由があるのでしょうか」(女子)

「過去のことが原因で起こった問題について考えていくのは非常に難しいことだと思います。ただ、それで被害を受けた人がいる以上は、やはりその原因を作った日本側がもう少ししっかりと考えるべき問題ではないでしょうか」(男子)

「新聞で逆転敗訴となっていたことに驚いた。記事には救済を促したそうだが、実際に救済が行われたのか知りたい」(男子)

「今回のビデオでは戦時中に日本軍が残したと思われる不発弾と毒ガスによってダメージを受けて貧困になった中国の人たちが映っていた。確かに、日本軍のせいでなったのなら、払わなければいけないだろう。でも日本の言い分がないので自分には判断できない。日本政府もお金がないため人道的は払うべきだが払えないのだろう」(男子)

「約70年前に日本軍が中国に遺棄した兵器で今なお苦しんでいる人がいるということを初めて知りました。日本政府側も責任を認めたくない理由はあるのでしょうが、国家の姿勢としては被害者への救済が不十分であると言わざるをえません。」(女子)

「まず日中戦争中に南京事件などで多くの中国人を虐殺した当時の日本軍には私は昔から怒りを覚えていた。またその末期に毒ガスを使ったことは決して許されることではない。二審では被害者側が敗訴したが、日本側が敗訴すべき問題だと思う。」(男子)

「中国での毒ガスの問題はとても深刻であると思った。前の政府の失敗であろうと、政府は遺族の苦しみを取り除かなければならないと思う。遺族は政府に頼るしかないのだから、現在の政府がそれに応えてほしい」(男子)

「誰のせいでこういう惨事が起こったのかは明らかなのに、法だの規制だので責任を取ろうとしない日本はおかしい。法律云々よりもまず人権を尊重しなければならないことを念頭におく必要がある」(男子)

「昔から戦時中、日本軍は中国人を虐殺したと言われていたが、私はそれを同じ日本人として許せなかった。そして今日のビデオではそれが事実であると知り、悲しくもなった。日本軍が使用した毒ガスや兵器などのせいで中国人が犠牲になり、悲しかった」(男子)

「被害者の方々の涙混じりの会見を見て、何とも言えない気持ちになりました。また、夫婦で苦しんでいた人たちの話を聞いて、どういう対処法があるのかな?と思いました」(女子)

「映像資料で遺族が涙ながらに訴えていた場面が大変印象に残った。遺族の人たちも言っていたように、どう見ても日本政府に過失があるように私も感じたが、こういった日本の国外で起きた、また起きている問題について知っている国民はそれほど多くないと思うので、メディアなどがより積極的に知らせていくべきだと思った」(男子)

「会見で泣き崩れるのを見て、とてもかわいそうに思った。日本政府にちゃんとした対応をとってほしい。通訳さんが感情こもってるなあと思った」(女子)

「いったんは勝訴を勝ち取り、日本政府も誠意を見せたかのように思えたが、結局その後政府が異論を唱え、敗訴になったことが、納得がいかなかった。何も罪もない中国の人々が戦争により残された毒ガスで亡くなっているというのに、何の責任も取らない自分の国である日本政府に憤りを感じた。私たちも原爆や核実験(第五福竜丸など)で訴訟を起こしたりしているのだから、中国人被害者の気持ちはわかるはずなのに、なぜ責任を取ろうとしないのか、逃げるのか。これでは、ビデオに登場した中国人の人たちに勇気がないなどとののしられても仕方がないと思った。自国の政府の体制に呆れてしまった」(女子)

「日本政府が控訴したことに驚きました。なぜなのか全くわかりません。日本軍が残した毒ガスや不発弾なのだから、責任を負うのは当たり前だと思います」(女子)

「毒ガスによる後遺症は、日本の明らかな責任なのに、賠償しないことは責任逃れ以外のなにものでもない。政治家にも大きな改革が必要なのでは」(男子)

「日本軍が中国に残した兵器のせいで未だに苦しんでいる人がいるということに驚いた。日本政府はきちんと賠償しなければならないと思う」(女子)

「中国人女性(ビデオの中で旧日本軍の不発弾で父親が亡くなった)が日本へ来ていたようだが、日本に来るお金があったら、早く借金をかえしてしまったほうがよいように感じた。日本までわざわざ来て旧日本軍の兵器の責任をめぐって裁判しても(日本の裁判所は上にいくほど政府側に有利な判決をするので)時間とお金のむだである。それよりも、国際的に有名な、兵器による被害者団体のNGOにうったえ、世間での話題性を高め、そのNGOといっしょに日本国と戦う方がよいと思った」(女子)

戸田注 中国人原告代表の来日費用は自費でなく支援者のカンパだと思う。あきらめずにまともな判例をつくる(あるいは勝利和解をする)ための努力は必要。

「中国に日本軍が残した兵器で傷ついた人が戦後にもいるのだとわかった。日本は賠償するべきだ」(男子)

「戦争被害者は世界中にいて、今も増え続けている。その責任の所在と補償は、被害者の時間は限られたものなので、早急に正しい補償が行われるべきだ」(男子)

「日本政府は私の生活を知っているの?という言葉に、政府だけでなく、このことについてほとんど何も知らない私自身も恥ずかしく思った。ビデオの最初に出てきた男性は、自分の妻にも病気がうつったことがあったと言っていたが、やはりその子供にも何らかの影響があったのかどうか気になった。」(女子)

「戦争は本当に多くの問題をもたらす。不発弾を片付けなかったがためにこうして犠牲者が出てしまったというのは完全に日本のカルマである。だからおそらく日本政府も内心は援助してやりたいと思っているはずである。しかしそれは同時に中国に頭を下げることになるから、国家としてはすぐにとはいかないのだろう。しかし、個人で国家レベルのカルマを背負う重みは計り知れない」(男子)

「中国人として私はこのビデオを見て、本当に被害者のつらさを感じました。言葉で表現できないほど悲しかったです」(女子)

「悲しかったです」(男子)

「今回のビデオを見て、前のベトナムのことを思い出した。戦争が恐い」(女子)

「毒ガスの影響はそんなにひどかったことを初めて知りました。ビデオを見て、遺族たちに補償を与えるべきだと思います」((女子)

「和平の時代にそういう事件があって、すごく残念だと思います。日中友好のため日本政府は歴史をちゃんと認めなければならないと思う」(女子)

「中国人遺族らが逆転敗訴したことがとても残念なことです」(男子)

「毒ガス兵器や不発弾によって被害を受けた人々が、今なお何も救済を受けずにいることに驚いた。薬害肝炎問題にもいえることだが、明らかに国に責任がある場合、それを認め迅速な対応をとるのが正義であると思った」(女子)

「日本軍が捨てた毒ガス兵器や砲弾(不発弾)によって亡くなったり、後遺症に苦しんだり、多額の借金を負って休む間もなく働かなくてはならない遺族が今なお何の救済も受けずにいるのはおかしいことだ。東京高裁も政府、国会に救済を促すのみではなく、積極的な救済を受けられるような道筋を立てるべきだったと思う」(女子)


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