新刊案内  2011年4月5日

『低線量内部被曝の脅威 原子炉周辺の健康破壊と疫学的立証の記録』ジェイ・マーティン・グールド著、肥田舜太郎・斎藤紀・戸田清・竹野内真理訳、緑風出版、2011年4月15日発行 

 

ハードカバー384頁 ISBN978-4-8461-1105-2

本体5200円 書店価格5460円、大学生協価格4914円、訳者割引4500+送料

4月から店頭に出ています。

本書は3月11日(東日本大震災)の直前に校了となったため、あとがきで福島原発震災に言及できませんでした。地震、津波、原発事故の犠牲者・被災者のみなさまにお悔やみ申し上げ、お見舞い申し上げます。

 

原子炉周辺や核実験場の異常な乳がん発生率の増加を証明した衝撃の書!

 

本書は、1950年以来の公式資料を使って、全米3000余の郡のうち、核施設に近い約1300郡に住む女性の乳がん死亡リスクが極めて高いことを立証して、レイチェル・カーソンの予見を裏付ける。

 

目次

はじめに

概観と要約

 

第1章 序論:放射性降下物と郡の乳癌発生率

1.原子炉との近接度

2.郡の癌死亡率の情報源

3.放射性降下物の影響

4.低線量放射線の健康に対する影響の暴露

5.郡の癌死亡率の年齢調整

6.真実の暴露におけるパソコンの重要性

 

第2章 放射性降下物と免疫異常

1.1935年以来の乳癌発生率の変化

2.乳癌と放射線の結びつきはなぜ、隠されてきたのか

3.放射性降下物と新生児

4.放射性降下物と低出生体重児

5.新生児の健康の最近の悪化

6.低線量放射線への黒人新生児のより高い感受性

7.新生児の生育力の低下に関するその他の測定

8.新生児の甲状腺機能低下症

9.核実験が行われた期間のミルク中の放射能測定

10.無意味なミルク中の放射線マイナス値の測定

11.老朽化した原子炉の腐蝕

12.ソ連における核の腐蝕

 

第3章 低出生体重児とベビーブーム世代の免疫不全

1.19631980年に見られた核実験放射性降下物による晩発性の影響

2.19601990年に見られた放射性降下物による晩発性の影響

3.1980年以降に見られた放射性降下物による晩発性の影響

4.「ベビーブーム」世代の免疫不全と生産性

 

第4章 乳癌死亡率と原子炉からの放出物

1.「原子炉との近接度」をどう定義するか

2.オークリッジ周辺の乳癌死亡率

3.年齢調整の意味

4.「統計学的に有意」の概念

5.オークリッジ核施設がもたらす人間の悲劇についての論文

 

第5章 1950年以後の乳癌死亡率の地域差

1.乳癌死亡率理解の鍵となる地域差

2.発生率は死亡率以上の増加

3.電離放射線に対する癌の対数的な放射線被曝線量反応関係

4.農村地域と都市における発癌の傾向の収斂

 

第6章 国立癌研究所はなぜ、原子炉の周辺での発癌リスクの増大を見逃したのか

1.国立癌研究所はどのように被曝した郡を定義したか

2.集計された死亡率に見られる有意な増加

3.対照群としての郡の奇妙な選定方法

 

第7章 原子炉周辺における発癌リスク増大の本質

1.老朽化したDOE原子炉周辺が最も危険

2.原子炉施設から50マイル以内の「核施設のある」郡

3.乳癌死亡率の傾向と降雨

4.都市と農村における癌発生率の収斂について

 

第8章 放射性降下物と乳癌

1.大都市におけるミルクの消費

2.裕福な都市地域における過去のX線の過剰使用

3.1945年における放射線の傷害性

4.乳癌とロスアラモス

5.1945年におけるアラモゴードでのトリニティ原子爆弾の爆発

6.ニューヨーク大都市圏における乳癌死亡率

7・ウエストチェスターにおける乳癌

8.ブルックヘブンとサフォーク郡の乳癌

9.放射性廃棄物による魚への危険

10.公衆向けテレビを使った防衛戦

11.商業テレビを使ったブルックヘブンの内部告発

12.ブルックヘブンに対する集団訴訟の要求

13.ブルックヘブン国立研究所の二枚舌

14.乳癌とコネティカットの原子炉

15.最高の乳癌死亡率を持つ都会型の郡

16.五大湖の近くにおける乳癌の高発生率

17.ミネソタの原子炉の近くでの乳癌発生率

18.原子炉施設から100マイル以内にある「核施設のある」郡

19.「核施設のある」郡と「核施設のない」郡の間の死亡率比

 

第9章 もう遅すぎるだろうか

1.生物種の消滅

2.なお存在する未汚染地域

3.政府をどう扱うか

4.時間との競争

 

付録

A.原子炉周辺の乳癌死亡率の計算

B.60の原子炉施設と周辺の郡のコンピュータ処理による地図

C.原子力発電所から放出される放射性物質

D.国立癌研究所はどのように原子炉周辺における発癌リスクの増加を確認したか

 

参考文献

 

核時代の構造 『内部の敵』改訳版に際して(斎藤紀)

はじめに

1.核時代

2.疫学調査

3.原子力産業

4.アメリカの悲劇

5.原爆被害と低線量被曝をめぐる問題

6.トリニティ核実験

7.さいごに

 

訳者あとがき

索引

 

著者

ジェイ・マーティン・グールド(19152005) 米国の統計学者、疫学者

 

訳者

肥田舜太郎 1917年生まれ、広島被爆者、医師、全日本民医連顧問

斎藤紀 1947年生まれ、福島医療生協わたり病院医師、核戦争防止国際医師会議会員

戸田清 1956年生まれ、長崎大学教員

竹野内真理 1967年生まれ、通翻訳者、たんぽぽ舎

 

 

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